農林水産大臣認可 事業協同組合 JY 全国焼肉協会

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上方排気フード火災抑制方策について

正会員向け
会員各位

令和2年7月吉日
事業協同組合 全国焼肉協会
会長 山口 悟


上方排気フード火災抑制方策について


拝啓 梅雨の候、貴社ますますご繁栄のこととお喜び申し上げます。
平素は格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。
さて標題の件ですが、全体の火災件数は減少傾向にある中、飲食店の火災件数は一向に減らず、逆に増加傾向にあります。特に調理器具上方に付属する排気ダクトに係わる火災は増加しており、その対策は喫緊の課題となっています。
そこで昨年より、東京消防庁、各有識者による「飲食店におけるダクト火災抑制方策の検討に関する検討部会」が設立され、当協会もこれまで4回の検討部会に参加いたしました。
部会で実施した、火災実験、調査結果をもとに当協会独自で「上引きフード設置基準及び使用上の注意事項」を作成し、火災予防に努めて参りたく存じます。何卒、ご一読の上、火災抑制方策にご協力の程よろしくお願いいたします。
敬具




検討部会での調査結果:
・平成24年頃から特に七輪こんろの火災が増加している。
・平成27年から平成30年までに発生した火災45件の焼肉店の上引きダクト設備詳細

[1]七輪 
発生源が七輪だったものについては、直径が20~35㎝がほとんど。
高さは15~25㎝のものが多く使用されていた。

[2]グリスフィルター
グリスフィルターがない店舗が10軒あった。

[3]離隔距離(火気器具から上引きダクト吸込み口までの距離)
20㎝未満のものが半数近くあった。

[4]上引きダクトの直径
ダクトの直径が12㎝以下のものが半数以上あり、ほとんどが15㎝以下であった。

[5]上引きダクト内に付着した油脂の厚さ
測定した5軒とも油脂の厚さが0.4㎜以上。
※(一社)日本空調システムクリーニング協会 簡易油塵測定ゲージを使用し計測。

ダクト内に着火した状況


簡易油塵測定ゲージ


[6]炎の高さ 
七輪にのせたホルモンの量に比例する傾向にある。
焼網にのせたホルモンは、炭の熱により脂が溶け滴下し炭上で着火し炎となる、焼き初めは間欠的な炎であるが、やがて連続的な炎となりホルモン全体を加熱しホルモンに着火し炎が立ちのぼる。

七輪大(直径31.5cm)でホルモン500gを焼いた場合


[7]吸込み口の速度
  ダクト離隔距離及び熱源の条件が同じであれば、風速が遅いほうがダクト外側の最高温度が高くなった。
  同条件であればダクト内の風速が遅いほど火災の危険がある結果となった。





全国焼肉協会 上引きフード設置基準及び使用上の注意事項


[1] グリスフィルターの付いている商品を使用し、防火ダンパーは必ず設置する。

[2] 上引きフードは容易に分解出来るものを使用し、
炎に近い部分は毎日清掃(0.4mm以上とならないように)をする。

[3]  火気器具からダクトの吸い込み口までの距離は20㎝以上離す。

[4]  特にホルモンを提供する場合は、お客様に一度に大量のホルモンを網に載せない
ように一言添える。

[5] 1~2年に一度は商品から先の排気ダクト内部、排気ファンの汚れ具合を業者に確認
させ、必要に応じてダクト洗浄を業者に依頼する。

[6] 炎が立ち上がった場合はお客様に氷で消してもらうように一言添えると共に、店舗側も氷で迅速に消せるように準備をしておく。

※機器、排気ダクト、ファンの汚れが蓄積するとダクト内の風速が遅くなり火災の
危険性が高くなります。



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