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『食道園』の冷麺 |
日本における焼肉店の元祖・『食道園』(江崎政雄社長)が、大阪千日前に店を出したのは昭和22年。
(創業当時の『食道園』旧千日前店の
写真。看板には「平壌冷麺」とある。)
しかしさらに遡れば、その歴史は、昭和13年の中国山西省太原で江崎光雄氏(『食道園』先代社長)が開店させた『軍御用達 太原精肉』に始まる。そこでは、1階にすき焼きの店『松喜』と平壌冷麺『食道園』を置いた。
前者は浅草の料理屋から、後者は平壌にあったおいしい冷麺屋から拝借した名である。だから当初、つまり千日前に店を構えた時も、看板には「平壌冷麺」と大書した。
『食道園』で約20年にわたって料理の腕を磨き、現在「食材センター」の所長を務める清水哲雄氏は、「先代は、焼肉が売れなくても冷麺が出さえすれば、それだけで機嫌がエエ人でしたね」と語る。それだけ冷麺には、こだわりがあった。
その一例が、いまも現役で活躍中の大きな釜。おそらく関西で一番と清水氏が言うその釜は二尋ほどの大きさで、先代・江崎光雄氏が特別発注したもの。
「麺を練るのは5、6丁が限度。それ以上だと、今度は麺がまとまりません。ならばということで、釜もその丁数に合わせた大きさにしたんです」
続いて、昔と寸分も違わぬという冷麺の作り方を教わった。
「釜の熱湯で『練り鉢』を温める。こうすると速く練ることができるんです。なぜ速く? 純粋な蕎麦粉だからです。ウチの冷麺は98%が蕎麦粉、あと少し重曹を混ぜるだけ。純粋な蕎麦粉だと麺がまとまりにくいから、速さが勝負になってくるんです。
これに40gの熱湯(一人前分)を加え、身体全体を使ってすばやく、練る。30秒から長くて1分。それ以上だと難しい。湯がさめてしまっては、粉がまとまらないからね。この塊を作るのが難しい。一人前になるまでに最低3カ月はかかりますな」
身体全体を使った「練り方」にはコツがある。「手の皮が剥けるほど熱いのでつい手加減してしまうが、それではいい麺はできない。何度も皮が剥け、血を出し、ようやく『煙草の火さえ感じないほどの』冷麺ダコができてはじめてスタートラインに立ったといえる」とも。
この塊が餅の熱さ・耳たぶの硬さになったら、茹で釜の上部に設置された製麺器に入れる。すると圧力によって麺がトコロテン式に押し出され、下の茹で釜に飲み込まれるという寸法。蕎麦粉だけだと粘りが少ないので、押し出すのが一番よいとされるからだ。
沸騰した湯で茹でること、50秒〜1分。麺が茹であがったら水洗いをして粘りを取る。これも、まったくなくしてしまってはおいしくなくなるので、粘りを取りきらないのがポイント。長年の経験のみでしか知ることができない技術といえよう。
次に、コシを出すために氷水で冷やし、網の上で水を切り、最後に盛りつけをしてできあがり、となる。時間にして5分弱。
「冷麺は練りたて、作りたてが一番だから。時間が経ったら麺に力(リキ)がなくなってしまう」と清水氏。注文を受けて出すまで10分から15分、それ以上経ったら冷麺じゃないと言わんばかり。
その冷麺、薄く透き通った感じに何とも清涼感を覚えるが、蕎麦粉ばかりであるはずなのに蕎麦の香りがしないのは何故?
「蕎麦の匂いがあっては、それは冷麺じゃないんです。ですからいわゆる更級粉ですね。蕎麦の実の中心部、白いところだけを使うんです」
琥珀色のスープも特徴がありそうだ。
「歯がしみるぐらい冷たく、そしてさっぱり味であることが基本。どちらも麺のコシをより生かすためです。ですから、全部飲んでもクドくない。あとは好みによって酢を入れたり、薬味を入れたりしますね」
具について何か決まりのようなものは?
「ウチでは、きゅうりの漬物、リンゴもしくは梨、赤モノ(肉をボイルしたもの)、そして冷麺用の特製キムチを載せています。いずれも麺のおいしさを損なわない、あっさり味が基本です。とくにこのキムチは酸味が効いていて、酢を入れなくてもいいぐらいですよ」
食べ方にコツは?
「そう。昔の、私らの先輩らはほとんど噛まずに、飲み込むように食べてましたわ」
そして最後に清水氏は胸を張って、そしてこう言った。「これが、『食道園』の冷麺です」と。
『食道園』には今も、遠方から冷麺だけを食べに来る人は多い。
先代・江崎光雄氏が今もしあらば、必ずや「機嫌がエエ」に違いない。
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| J.Y(全国焼肉協会=ALLJAPAN"YAKINIKU"ASSOCIATION)は、焼肉業界の社会的地位の向上を目指して、平成4年10月に設立された団体です。個々のお店の繁栄に貢献するためのさまざまな活動や次世代の焼肉業界を支える人材の育成など、業界内の積極的な交流と連携によって、焼肉業界の地位向上を目指す団体です。J.Yでは、平成10年5月28日付けにて農林水産大臣の認可を取得し、事業協同組合となりました。 |

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