やわらかい肉は卒業。
噛みしめるほど味の出る肉が好きです。
俳優 山口馬木也さん
やまぐち・まきや
1973年、岡山県生まれ。京都精華大学芸術学部洋画学科在学中に俳優を志す。映画『葵花却』(1998年 中日合作)、『雨あがる』(2000年)、舞台『蜘蛛女のキス』(2005年)、『マクベス』(2007年)などに出演。『水戸黄門』(TBS)の忍者・鳴神の夜叉王丸、『剣客商売』(フジテレビ)の秋山大治郎など、時代劇の当たり役も多い。
舞台『チャングムの誓い』(2007-2008年)でチャングムの想い人、ミン・ジョンホを凛々しく演じた山口馬木也さん。
時代劇『剣客商売』(フジテレビ系・2004年)の剣一筋に生きる男、秋山大治郎や、ドラマ『トップセールス』(NHK・2008年)の野心的な新聞記者役も印象的です。
昨年11月の舞台『向日葵の柩』(作=柳美里、演出=金守珍)では、孤独な在日コリアンの青年を好演。
12月の東京公演も好評で、2009年は全国公演の予定です。
『向日葵の柩』の制作エピソードや、作品への想いを聞きました。
もちろん、大の焼肉党。独自の焼肉論もたっぷりです。
(※掲載内容は「やきにく」誌の抄録です。)
絶望の果ての希望を
演じたい
--颯爽とした役柄の多い山口さんですが、『向日葵の柩』では鬱屈した在日コリアンの青年・李栄敏を演じますね。
山口 時代劇での印象が強かったのか、強くて正しい男の役が続いてましたけど、こういう芝居も大好きで、ずっとやりたかったんです。
台本を読んだとき、こんなにも感性や想像力をかきたてられる本があったのか!と感動しました。
読み終わったら、それまでと景色が変わって見えたくらい。
--柳美里さんが18年前に書いた出世作で、私小説的な作品ですね。
山口 母親が家を出ていって以来、引きこもるように暮らしている栄敏とその家族がさらに壊れていく物語です。
絶望的な話なんだけど、救いがある。何か、あったかいものを感じたんです。
それはなぜか、演出の金守珍さんが明確に答えてくれました。
「壊れてしまったように見える一家だけど、彼らの居場所は家しかない。ことごとく壊したら最後に残るのはやっぱり家族なんだ」って。
家族にもいろんな形態があって、悲惨に見える李家だけど、それも家族の一つの形なんです。
最後に栄敏は、悲痛なやり方ではあるけれども、ずっと自分を縛りつけてきたものを壊して、解放されます。
ラストシーンで咲く向日葵の大群は栄敏の再生の象徴です。
絶望の果てに光る希望を感じていただけたらいいなと思います。
(中略)
焼肉は舞台のエネルギー源
--『チャングムの誓い』、『向日葵の棺』と韓国ゆかりのお芝居に縁がありますね。
山口 そうなんですよ!続きましたね。
在日コリアンや、韓国人の友だちが多いので喜んでくれました。
--焼肉や韓国料理もお好きですか。
山口 大好きです。子どものときから、お祝いやイベントの日は焼肉。
ずっと、いちばんのご馳走でしたよ、今でも変わんないですね。
とくに舞台やってると、どうしても体力が落ちてくるから、焼肉、食わないとやってらんないんですよ(笑)。
『剣客商売』でご一緒した平幹二郎さんに「声を枯らしたときは生肉がいい」と教えていただいたんです。
平さんは、海外公演にいらしたときも、日本からユッケを取り寄せたそうですよ。
それを聞いて以来、「喉、おかしいかな?」というときには、すぐ焼肉に行ってユッケ食べます。効きますよ。
--焼肉のスタミナで今年もご活躍ください。ありがとうございました。
『向日葵の柩』
作=柳美里、演出=金守珍
岐阜県の可児市文化創造センター(愛称:ala=アーラ)が、現代劇の埋もれた名作をリメイクする「アーラ・コレクション・シリーズ」。
演出家と俳優が可児市に滞在して舞台を制作することで地域の文化向上や活性化も図る。その第1弾として2008年11月、同センターで上演。
2008年12月には東京・新国立劇場でも上演。
2009年は全国公演の予定。
問 可児市文化創造センター 0574-60-3311
http://www.kpac.or.jp/
母親に去られた李栄敏(山口馬木也)と妹・栄貴、父親の暮らしは、寄り添うように見えて断絶している。痛々しい家族のありさまは、初演から18年を経ても古びず、いっそうリアルですらある。
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