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人ってね、火を囲むと はしゃぐんです。だから 焼肉は話が弾むんだね。
落語家林家木久蔵さん
はやしや・きくぞう 1937年、東京都生まれ。都立中野工業高校食品化学科卒業後、森永乳業に就職するも漫画家・清水崑氏に入門。清水氏の紹介で落語家・桂三木助に入門。三木助没後、林家正蔵のもとへ移り林家木久蔵に。72年真打ち昇進。日本テレビ『笑点』での活躍はおなじみ。全国ラーメン党会長、鯨の食文化を守る会副会長。
古典も新作も、すぐれた時代感覚と話芸で新鮮に演じ、ラーメン通にして画技もエッセイもお得意。 多才で愛嬌あるキャラクターが愛される林家木久蔵さん。先日、弟子で長男の林家きくおさんが「木久蔵」を襲名し、なんと自身の新しい名前は公募で決めると発表しました。
サプライズ襲名のいきさつ、忘れ難い師匠たちの言葉、そして焼肉店へのアドバイスを聞きました。
異例づくしの親子同時襲名
――このたびは親子そろっての襲名、おめでとうございます。
木久蔵 ありがとうございます。ダブル襲名って、歌舞伎の世界では前例があるけど落語界では初めてだそうですよ。だからみなさん、とってもおもしろがってくれてるんですよ。
――どういうお考えで、愛着のある「木久蔵」を譲る決意をされたのですか。
木久蔵 ことし、せがれの林家きくおの真打ち昇進が決まりましたので、褒美というかね、背中を押してやろうと思って。 僕のほうも落語家になって47年、来年は70歳の節目を迎えるんですよね。 このあたりで、おばかちゃんキャラの殻を脱いで(笑)、今まであまり表に出してこなかった、社会的な面を出していこうかなと。
例えば「鯨の食文化を守る会」ってのをずっとやってるんですけど、9月にIWC(国際捕鯨委員会)の総会で、「商業捕鯨の一時禁止はもう必要ない」という日本の主張が1票差で通りましたね。 ですから2、3年後には捕鯨再開になるんですが、もうクジラ料理ってみんな忘れちゃってるんですよね。 だから、クジラって良質で安い蛋白源で、伝統的な食文化だってこと、落語に織り込んで伝えるお手伝いをしたり。
あと、リューマチの患者さんに落語で笑ってもらうことで痛みが軽減するという研究に参加して14年目なんです。 これもお医者さんと僕のコンビで、講演と落語の会をやったりして、愉快に暮らすことが、どれだけ身体にいいかってことをお知らせしたい。
で、「あの人、世の中の役に立ってんだな」ってわかっていただければ(笑)。
――新しいお名前を公募されるそうで、これも異例の試みですね。
木久蔵 ええ、名前を考えてくれた人はみんな「参加した」って気持ちがあるから、襲名披露興行にもおいでくださると思うんですよね。これが落語界の活性化になればと思いまして。 もうずいぶん集まってまして、林家元木久蔵とか、林家木久蔵B面とか、おもしろいのばっかり(笑)。 林家麺蔵ってのがいちばん多くて7通来てんですよ。僕がラーメン好きだからでしょうけど、ちょっとね(笑)。
だけど、おもしろい名前も含めて、いっぱい応募して、楽しんでいただければうれしいですね。
スペイン流、
闘牛の焼肉
――師匠のラーメン好きは有名です。オリジナルのラーメンブランドもお持ちですね。
木久蔵 一時はお店も27店舗やってたんですけど、最初はうちの独り勝ちだったのが「ラーメンは儲かるらしい」っていうんで周りに競合店ができて(笑)。
このままじゃ値下げ競争にはまり込んじゃうということで、お店は整理して、今は物販だけです。 通販と、東京駅と成田、福岡、札幌の空港でお買い求めいただけます。こうすると人件費が要らないから(笑)。 でも、スペインのお店だけはまだやってるんですよ。
――以前、開店までの顛末を「月刊やきにく」に寄稿してくださいましたね。焼肉もお出しになるラーメン店だとか。
木久蔵 ええ、89年にスペインのバルセロナにオープンした『カサ デ ボスケ・キク』です。カサはスペイン語の家、ボスケは林、木久蔵のキクで、つまり林家木久蔵ね(笑)。
むこうのお客さんはラーメン一杯食べるのにもワイン飲みながら2時間もかけるんですよ。それじゃ儲からないから焼肉も出すことにしたら、当たりまして。 あちらの方は自分で調理する店なんて行ったことないから、おもしろかったらしくてバカにうけちゃって。 みなさんラーメンは締めに召し上がりますね。その中に焼肉を入れたりとかね。
――何牛をお使いになるんですか。
木久蔵 闘牛で仕留められた牛がすぐ捌かれるんですよ。それがいちばん安いから飲食業者が先を争って買いにくるの。
儲かりもしてないですけどね、スペインにラーメンのお店出してるってカッコイイでしょう、だから続けてるの(笑)。
僕はオーダー名人ですよ
――焼肉はお好きですよね。
木久蔵 ええ、寄席の周辺には焼肉屋さんがいっぱいあるんですよ。新宿だと、上野の鈴本演芸場の裏に7軒くらい。 お弟子さんが若い子ばかりだから、よく連れて行きますよ。だから僕、大勢での頼み方、うまいんですよ。
まずビール20本くらい、お肉は2人前ずつ7品くらい。「ロース、カルビ、豚足……」って。豚足はちょっと焼くと美味しいよね。 それをお弟子さんに書かして、お店の人に渡してあげるの。数量は「正」の字でね、だからうちのテーブルはすごく早く出てきますよ(笑)。
――師匠にとって焼肉の魅力とは?
木久蔵 うん、自分でこしらえるのも楽しいんですけど、火があると人ってはしゃぐんですよ、とっても話が弾むんです。それが楽しい。
――経営者の視点で、焼肉屋さんにリクエストやアドバイスをお願いします。
木久蔵 頼み方の入門書じゃないけど、ちょっとコツを書いてあげるといいと思います。
カルビは「お年を召した方なら、お二人で一人前でも充分です」とか、スープは「三人で召し上がれます」とか、書いてあげれば、いっぱい頼みすぎて残しちゃうこともないだろうし。 僕なんか豆腐チゲとって、具を食べちゃったら、おつゆでおじや作って、卵とじにして、二人くらいで食べますものね。
そんな提案もメニューの隅に書いてあげると喜ばれると思いますよ。
――ありがとうございました。来年の襲名披露を楽しみにしています。
林家木久蔵「新しい名前」公募要綱
〈1〉日テレホームページから応募
http://www.ntv.co.jp/sho-ten/
〈2〉はがきで応募
〒105‐8714 日本テレビ 笑点
「木久蔵の新しい名前」係
林家木久蔵 生ラーメン 醤油
4食入1050円(税込み)
商品開発からパッケージデザインまで木久蔵師匠が手がけた人気商品。昔なつかしい東京下町の味中華そばを再現。注文は林家木久蔵オフィシャルホームページ
http://www.toyota-art.jp/
--詳細は「月刊やきにく」をご購読下さい--
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